「大統領のように働き、王様のように遊ぶ」をテーマに、社員が最高のリラクゼーションを過ごせる施設づくりの記録。
「大統領のように働き、王様のように遊ぶ」 社員一人一人が、最高のリラクゼーションの時間を過ごせるように「石垣島研修施設」を作ろう。 そう思い立ち「石垣島研修施設」を建設する計画を立てました。計画を実行するために「土地」を探し始めました。 条件にあう土地を探し続けましたが、実に、2年もの時間がかかりました。 しかし、不思議なもので、石垣島の友人の弟が、2400坪の土地を最高の立地で所有している事が分かりました。 直ぐに、話をもちかけ、無事に建物を建築できる事になりました。
9m以上の軒の高さの建物を建設するためには「1級建築士」を手配する必要があります。 石垣島の建築事務所や、ネットで沖縄県の建築事務所を手当たり次第に電話して見ましたが請け負ってくれる建築事務所は見つかりませんでした。 そこで、神奈川県や埼玉県など、幅を広げて、全国の建築事務所に電話しましたが、それでも請け負ってくれるところは見つかりませんでした。 それもそのはず、私の予算は1億8千万しかありませんでしたが、どの設計事務所も、その倍はかかるとの事でした。 途方に暮れていると、当時、福島支店の支店長から、以前の職場でお世話になった建設会社があるので、紹介してくれる事になりました。 大和ハウス工業です。大手の建設会社にも関わらず、親身になって相談に乗って頂きました。 先ず、予算内で建設する為に、建物の延べ床面積を縮小する事にしました。 それから、部分的な装飾や施工をこちら側でも行う事で予算を縮小する事になりました。 建物の外壁の「モールディング」や「神殿風支柱」は自分で施工しました。
外構工事とは、塀や石畳、プール、テニスコート、ウッドデッキ、浄化槽、下水、駐車場などの建物以外の設備です。 予算の都合で、親戚と知り合いの3名で作る事にしました。 私は、大工や土木の専門家ではありませんが「You-tube」などを参考にして挑戦する事になりました。 本当にうまく行くのか不安でたまりませんでしたが、これまでも「不可能」や「無理」と言われた事を実行してきたのですからやるしかありません。
浄化槽の設置を行うために、深さ8m位まで重機で掘り進んでいたところ「不発弾」が出てきました。 実は、この近くに「飛行場」があったため、アメリカとの戦争の時「艦砲射撃」の流れ弾が不発弾として残っていたようです。 工事中に「不発弾」が見つかると工事はストップします。 自衛隊しか処理できませんから、沖縄の自衛隊の連絡したところ、夕方には軍用ヘリで来島して処理してくれました。 長い時には、3ケ月以上も来てくれない事があるらしいのでラッキーでした。
石垣島は、下水が整備されていないので、汚物などは浄化槽のバクテリアで処理してから排水します。 浄化槽の容量は、営業する店舗、例えば、中華料理や焼き肉屋など、計算式が保健所により細かく設定されています。
塀の設置方法は2種類あります。一つは、ブロックを積み上げる方式です。 もう一つは、枠を作り、コンクリートを流し込んで作る方法です。 何故、塀が必要かと言うと、1000坪以上の建築許可は、石垣市長ではなく沖縄県知事の許可が必要です。 県知事の許可だと、申請資料や手続きが複雑でかなりの時間がかかるのです。 ですから建物部分を1000坪、芝生部分を1400坪に仕切り建築許可を取りました。 そのほかにも塀を設置したので、2種類の塀の作り方で作って見ました。 さらに、琉球石灰岩を貼り付けて美しい塀が完成しました。
広大な土地に芝生を敷設する事にしました。 芝生の敷設には、土の改良が必要です。先ず、石ころを取り除きます。 この作業が困難を極めました。 広大な土地の石ころを取り除く作業は本当に根気のいる作業でした。 そして、牛糞を敷設して芝が成長しやすくします。 そして、九州の業者から取り寄せた芝生を1枚ずつ敷設して行きました。 こうして苦労して敷設した芝生でしたが、1400坪部分はほとんど枯れてしましました。 再度、業者から納品してもらい、2回目の敷設で何とか定着させる事が出来ました。
石垣島には、プールは、余りありませんから、プールを作った事のある業者は余りいないと思います。 もちろん、私もプールを作った事などありませんから、本当に作れるのか不安でした。 先ずは、どのようなデザインのプールにするか、ネットで世界の美しいプールをいろいろ調べてみました。 特に階段部分に特徴を出したかったのと、実用性を考えてこのような形にしました。 段差にあるデッキのような部分で子供が水遊びできる構造になっているので小さな子供でも遊べます。 先ずは、板で枠を作りコンクリ―トを流し込みます。 四角い形状になったところでいよいよ階段部分です。 階段部分は、Rがついて丸いので木材では型枠は作れません。 そこで、塩ビのパイプを利用して丸みを帯びた型枠を作りコンクリートを流し込みました。 この工法は意外とうまく行きました。
プールの周りにはタイルを張りました。 一般的なタイルは濡れると滑るので危険です。 そこで、表面がザラザラしているタイルを敷設しました。 そしてタイルの間の目地には、ホワイトコンクリートを流し込み完成です。 この作業は一人で全部こなしました。 地道な作業でとても疲れましたが、毎日少しずつ完成に近づいていく様子がデスクワークでは味わえない喜びです。
テニスコートはハードコートです。 アスファルトを敷設して、周りはコンクリートを打設して固めます。 そして塗装をしていきますが、施工した時期がちょうど夏で、テニスコート上はフライパンのようでした。 作業靴のなかに水を入れて作業しても、あっという間に熱湯になってしまいます。 何度も水を交換しながら塗装した事を覚えています。
ウッドデッキは、バーベキューの為の設備です。 市販の人工木を購入して寸法を出し、カットしてから施工していきます。 施工する前に、下から雑草が伸びてこないように、盛土しビニールを敷き詰めて雑草が生えないように施工しました。 そうしてから人工木を設置していきます。 さらに、鉄骨を溶接して屋根を作りました。 屋根は、最初はすだれで施工しましたが、雨の日でも利用できるようにあとからビニール製の屋根を取り付けました。
駐車場は一般的にはアスファルトで施工しますが、石垣島では、アスファルトが高騰し、コンクリートより値段が高くなったので途中からコンクリートに切り替えました。
イタリアンレストランを始める事になりました。 何か目玉になる商品を開発しようと考えて敷地内に「ピザ窯」を作ることにしました。 「ビザ窯」は、耐熱レンガで作ります。 耐熱レンガとは、砂の含有量が多くて熱に強いのです。 これに勾配を付けられるように、デスクサンダーで一個ずつ切っていきます。 ですが、砂の含有量が多いので、ものすごい粉塵がでます。 髪や服、そして鼻の穴まで真っ白になります。 こうして、約1000個近い耐熱レンガを切り、そして耐熱コンクリートで貼り付けていきます。 頭の部分は丸みがあるので、普通に接着する事はできません。 どのように施工する方が良いのか、親戚とあれこれアイデアを出し合いましたが、残念ながら私が東京に戻っている間に完成していました。